第44章 溢れる
櫻井のナカが熱くなりギュッと締めつけられる。
「センセ…大野センセ…。」
すがりつく櫻井が愛おしくて…涙が出そうになった。
「櫻井…気持ちいいよ。」
「嬉しい…です…あっん。」
腰を激しく打ちつけると、繋がった部分から肌のぶつかる音とぐちゅぐちゅっと水音が重なった。
「翔…。」
「…えっ…?あぁっん…。」
「翔…翔…翔…。」
「あっんっ…さ、とし…?」
「んふふ。智でいいから…。」
「さ…と…、智…智…。グスッ…。」
俺の名前を呼ぶ櫻井の大きな目から、涙が流れた。
「翔…?」
「好き…すぎて。智のこと…大好き。」
「俺も大好きだよ、翔。大好き。」
「んっ…んっ…大好き…。」
俺は腰の動きを加速させた。
「あっあっ…ああっ…。」
「んっ…はぁ…。」
胸を上下させる櫻井。
「一緒に…。」
「あぁ、一緒に。」
「智…。」
「翔…。」
先に櫻井が白濁を放ち、続けて俺も吐き出した。
櫻井のナカから自身を抜き、息を整えている櫻井を抱きしめた。
「…好きだよ。」
「うん…。」
「もう何もかも考えられないくらい、翔が好きなんだ…。」
胸の中にいる櫻井の手が、俺の両頬を包む。
「僕も同じだよ…智…。」
俺の唇に触れる優しい感触…。
触れるだけのキスを櫻井は繰り返したんだ。
甘くも切ないキスを。
その夜は、手を繋いだまま眠りについた。
櫻井が高校を卒業するまでには、あと半年。
俺たちは1ヶ月に一度、金曜日の夜に俺の家で過ごしている。
身体を重ねる時もあれば、ただ隣りでお互いしたいことをして過ごしている時もある。
寝る時は同じベッドで。
一緒にいたい…
好きという気持ちは止められなかった。
END