第34章 可愛い人
「もう、何なの?さっきからこっち見てニヤニヤしちゃって。」
雑誌をめくりながら、おいらに言うんだ。
だけど、顔はすごく嬉しそうにしてるの。
大きな目をキラキラさせてさ。
んふふ…可愛くてたまらないの。
おいらは翔くんに近づいて、椅子に座っている翔くんを後ろから抱きしめた。
「もう…どうしちゃったの?」
「ん~、翔くんの匂いがする。」
「まだシャワー浴びてないから…汗臭いでしょ。」
「ううん。汗臭くなんかない。いい匂い。」
おいらは翔くんのうなじに口づけをした。
「あっ…もぅ…。」
翔くんが見ていた雑誌が床に落ちた。
翔くんとおいらがペアでの特集が載っている雑誌。
おいらのウチで、おいらと一緒にいるのに、おいらとペアで載ってるページを翔くんは嬉しそうに見てたの。
んふふ…可愛くてたまらないの。
アイマスクのことも飲むゼリーのことも、シャンプーや雑誌のことも…
「何でこんなことしてるのかなぁ?」ってわざと聞いてみようかな。
きっと、翔くんはあたふたするんだろうな。
そう思ったらね、
んふふ…可愛くてたまらないの。
翔くんがいない時でもね、
ウチには翔くんの物があって
どんな時でも翔くんを感じて
おいらは安心するんだ。
「智くん…スイッチ…入っちゃった。」
「じゃあ…ベッド行く?」
「うん…行こうかな…」
スイッチが入ったって自分から言ったのに
頬をほんのり赤らめて照れてるの。
そんな翔くんがね、
んふふ…可愛くてたまらないの。
END