第1章 翔くんのお誕生日
(Sサイド)
5人での収録が終わり、いま楽屋にいるのは俺の恋人である智くんとニノと俺の3人。
「翔くん、明日誕生日だよね?仕事は入ってるの?」
「うん、昼から取材がね…。智くんはオフでしょ」
「じゃあ、オイラ釣りに行って、いっぱい魚釣ってくる!魚料理作ってあげるから、夜一緒に食べよう」
「ありがとう。期待してるね。あ、お天気になるように“てるてる坊主”作るね」
「ふふふ。あんがと。じゃあ次の仕事に行ってくるね。翔くん、ニノ、またね」
智くんが楽屋を出て暫くすると、俺のマネがやってきた。
マネによると、明日は取材先の都合で延期に。
そして俺は、明日1日オフをもらえることになった。
「明日オフになって良かったじゃないですか。大野さんに連絡しないんですか?」
「うん…智くんも久しぶりの釣りだからさ。嬉しそうな顔してたし…夜には会えるから…」
「そうですか…まぁ翔さんがそれでいいなら。じゃあワタシも撮影に行ってきますね。お疲れ様です、翔さん」
「お疲れ様、ニノ」
…ニノにはああ言ったけど、正直なところ智くんとオフが重なることなんてめったにないし、一日中一緒に過ごせたらなぁなんて思う。
でも智くんの楽しみを邪魔したくないし、夜には会えるんだから!と気持ちを切り替えて、俺も次の仕事に向かった。