第10章 天空闘技場
「………そっか」
私の話を聞き終えたゴンは頷き、そして私の頭を撫でた。私は目線を握りしめていた拳からゴンへと変えると、そこには微笑んでいるゴンの姿があった。
「キルアはね、寂しいんだと思うよ。これまでずっと一緒にいたアルミが、少し遠くに行っちゃったような気がしてるんじゃないかな?」
「寂しい?」
首を傾げた私に、ゴンは頷いた。
「キルア言ってた。
『姉貴は危機感が無さすぎるんだよ!! あんな奴ら、下心見え見えだっちゅーの!!!!!! そんな奴らを相手するくらいならオレの相手をしろ!!!!』
って」
ゴンのモノマネに私は思わず吹き出しながら、
「それ、本当にキルが言ったの?」
と尋ねた。意地っ張りなキルがそんなことを言うとは思えなかったからだ。ゴンは笑いながら、
「最後のは、キルアの気持ちを代弁したんだよ」
と言う。そして、ゴンは続けた。
「あのさ、アルミがキルアを思っているのと同じように、キルアもアルミのこと大切に思ってるよ。オレと話している時も、半分はアルミの話ししてるもん」
そして、ゴンは私の目をじっと見た。私はその真っ直ぐさに一瞬目を逸らしそうになったが、ゴンの手の温かさを感じ、私は目をそらさないことを決めた。ゴンの目はキラキラと輝き、それは私を映している。
「アルミがなんで、キルアやオレたちと一線を引いているのか分からないよ。でもね、オレやキルア…それだけじゃなくて、レオリオやクラピカもだけど、皆アルミの味方だから!! それだけは覚えておいてね!!!!」
ゴンは私の手をギュッと強く握って言った。私は引き締めていた口元が緩んでいくのがわかった。
………やっぱり……気づいていたか。
後ろめたい思いを胸に秘めながら、私は彼の手を握りしめた。
「………ありがとう、ゴン」
すると、ゴンはいつものように眩しい笑顔を見せる。
「ううん!! キルアと早く仲直りできるといいね!!!!」