第3章 rainy
今椿が幸せそうな顔で笑っていたらと思うとやっぱり辛い。
でも、覚悟はできてる。
「椿。」
「なに?」
「お前が誰を好きなのかは知らねえが、俺はお前が好きだ。」
「……ありがとう。」
ようやく椿の顔を見れたのに、
少し期待していた返事とは違って短いお礼だけだった。
彼女の顔は優しく微笑んでた。でも、どこか切なそうで。
彼女の相手は俺じゃないと思った。
初恋だった俺の想いは伝わらなかったらしい。
「及川はいい奴だ。俺が保証する。」
「ふふっ。何で岩ちゃんが保証するの?」
笑いながら酷なことを言う。
でも、さっきより表情が和らいだ気がした。
それに、
俺は強がりたかった。
「ライバルで、相棒だからだ。」
「そっか。」
「さっきの返事、今もらっていいか?」
「うん。」
「俺も今返事欲しいな。」
なんて最悪なタイミングだ。
わざときたのか偶然か。
及川はゆっくり歩いてきた。
「うん。」
彼女はもう一度小さく返事をした。
俺の結果は目に見えている。
でも、うやむやに終わらせたくはない。
それに、相手が及川なら、と思える。
本当は負けたくなかったが
どうしようのないこともあるもんだ。