第1章 cloudy
「クロ、おはよー」
「お、椿、はよ、」
ガタガタッ
先週席替えをしたばかりの席。そしてクロは私の前の席。
だからいつも暇になるたび振り向いて話しかけてくる。
それがすごく嬉しい。
「それで研磨がさー最近冷たいったらありゃしないんだよ。新しいゲームがでたとかなんとかで‥」
「いつものことじゃん」
「いや、でも‥研磨がーーーー。」
「そんなに好きなの?なに、研磨に恋煩い?キモッ。」
「え、椿チャン?‥‥そんなこと言うのはこの口か!」
「イタイ!イタイ!ギブ!ギブ!ギブーーーーーーー!!!」
クロに抓られたほっぺたが痛い。
と思ったけど、そんなに痛くない。
「いや〜悪いね〜そんなに強く抓っないと思ったんだが‥知らず知らずに筋肉が付いたからな〜!」
自慢げになんだコイツは!
「そんな怖い顔すんなって、ブスが余計にブスになるぞ〜。」
‥‥言わせておけばこのやろう。
調子に乗っちゃってさ、なんなんだ!
「うそうそ、これやるから許せ。」
コトッ。
そう言って机の上に置かれたのは
コーヒーゼリーだった。
それは私の大好物。
思わずテンションが上がって、
目がキラキラと‥
「ありがとー!さっすがクロ!分かってるね〜!!」
「だろ〜?さすが俺。」
ドヤ顔なあたりムカつくけど
それも面白くてつい笑っちゃう。
でも、それよりも
自分の好物を覚えていてくれたことに
嬉しすぎてやばい。
そんな小さいことに一つ一つに
いつもいつもドキドキさせられて、
まあ私が勝手にドキドキしてるだけなんだけど、
でも、毎日がすごく楽しくて、
クロが好きなんだなって改めて思う。