第1章 cloudy
今日も帰りはクロと椿と一緒に帰る。
椿が部活を引退したら帰る時間は変わってくるし
受験勉強に専念しなければいけない。
だから、3人で帰るのは後、何回かしかない。
あれから2人の態度は前みたいに戻ってきたと思う。
でも、どこか距離感があるように感じるのは気のせいじゃないと思う。
もし、そうだったとしても
2人のことに口出したりしない。
「それにしても、もうこんな時期なんだね〜早いな〜」
「そうだなー、もう受験だもんな〜」
「私はもう少し勉強、頑張んないとまずい‥ クロは案外、余裕なんじゃない?」
「そうでもねえよ。寝る暇も惜しいくらいだ。」
「そっか‥ そうだね!」
側から見ればなんでもない受験生の普通の会話。
それに違和感を覚えながら
そろそろ家に着く頃かな。
また別のことを考える。
「研磨も自主練、頑張りなよー。」
いつからそんな話題になったのか、
あんまり聞いてなかったから
いきなり話を振られて何も答えられない。
「そうだなー、研磨は俺たちにとって____ 」
「分かった。」
「今、俺が喋ってたんだけど‥‥ 。」
「‥‥ それ恥ずかしいから辞めて。本当に。」
「研磨は相変わらずつれないな〜。」
「‥‥ じゃ、着いたから。‥ バイバイ。」
「おう、じゃあな!」
「バイバイ!」
ガチャン。
「ただいま‥。」
ドアの向こうから
一瞬だけ2人の笑い声が聞こえてきて
安心と心配の2つの気持ちを抱えていた。
俺が心配しても仕方ないけど‥‥ 。