第2章 謎の少女
神楽と新八は気持ちを切り替えて、いつもの場所に戻って行ったが柊だけはいつまでもねこきちの去った後を見つめていた。
「おい、いつまでもそこに立ってっと風邪引くぞ。」
柊に声を掛けたが、
「あ、はい!もうちょっとしたら行きます!」
そう言って動こうとはしなかった。
「銀さん…家族って良いですよね!」
柊は寂しげな眼差しで突然声を出した。
「家族な…。
お前の家族ってどんな人?」
その言葉に、柊は一瞬だけ穏やかな笑みを浮かべて
「とても優しい父でした…。」
と答えた。
「母の記憶も私の幼い頃の記憶もありません。
数年前からの記憶しか無いんです…。
でも、父は本当に優しい発明家でした。」
そこまで言うと
「さて、神楽ちゃんたちのところに戻りましょうか!」
と話を切り替えられてしまった。
「そうか…。そーだな。」
俺もこれ以上はまだ聞いてはいけない気がして、その事には口を挟まなかった。
ただ、何でそんな数年前からという曖昧な記憶しか残っていないのか気になった。
こいつは一体何者なんだろうか…?
今は、謎めいた少女を見つめることしか出来なかった。