• テキストサイズ

ゆりかご 【黒執事 R18‐G】

第1章 契約 ~前編~


***

 そんな日々ですら、長くは続かなかった。同僚の女子3人だけにいじめられていたのが、そのうち上司からもいじめられるようになってきたのだ。あからさまに、無視されたり、私にだけ連絡を回してくれなかったりして……。
 それでも、大丈夫。頑張る。始めてそんなに経ってない職場をそんなに早く辞めたら、親だって心配してしまう。それに、私はお世辞にだって、そうそう出来が良いとは言い難いタイプだ。この職場を辞めたところで、次があるかどうかも分からない。この職場の採用試験だって、パスできたことが奇跡みたいなものだ。それをこんなにも早く、自分から棒に振るのは、身の程知らずだと思う。もっと言うなら、数年ともたないで辞めてしまったら、転職だって不利とか言われてるし。だから、頑張らないと。それに、翔くんだって、まだ私といてくれるし……。


 そんな重く、苦しい日々が続いたところで、職場の面談週間に差し掛かった。来年度に向けての希望をきいてもらえたり、評価を貰えたりする、そういう面談らしい。正直、あまり期待は持てないけれど、もしかしたら、この状況が少しでもマシになってくれたら……。私は、ほんの少しの期待を抱いて、面談に臨んだ。
 でも結果は……。私が想像していたよりも、ずっとずっと悲惨なものだった。「職場を辞めろ」と言われたのだ。理由は、人員削減。小さな職場ながら、何人かに声を掛けているらしい。そのうちの1人が、私ということらしい。その言葉を聞いて、勿論私だって、首を縦には降らなかった。私にだって生活はあるし、この職場を辞めたとして、すぐに次の仕事先が見つかりそうというわけでもない。というか、むしろアテなんて、全くない。貯金を切り崩して生活するようになってしまえば、手持ちの残高ぐらい、すぐに底をついてしまうだろう。私はその日、お先が真っ暗になったような気分で、帰路に就いた。

/ 128ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp