第4章 殺人
「まず、あの男から殺す。」
私は、セバスチャンにそう投げかけた。
「あの男、とは?」
セバスチャンは、言葉こそ短いが、いつになく真剣に私を見据えている。これこそが、彼がここにいる目的であり、理由だからだろう。
「茨木翔、っていう、男。」
「どのような人間なのでしょう?」
セバスチャンは、淡々とした口調で、言葉を繋いだ。
「以前の職場で、一緒に働いてた、男。行きそうな所なら、大体分かるから、大丈夫。さぁ、駅でタクシーでも拾いましょう。何日か、目ぼしいところにアタリをつければ、すぐに見つかると思うから。」
「はい。地獄の果てまでも、お供しますよ。」
セバスチャンの紡いだ、この言葉に、多分嘘は無い。