第3章 快復
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セバスチャンとそんな毎日を過ごしているうちに、私の体調はほぼ元通りになった。セバスチャンと契約してから、早いもので3か月以上もの月日が過ぎ去っていた。無論、この間に、私が奴らに対する憎悪を薄れさせていただとか、そういったことは全く無い。そもそも、その程度のことならば、私はあの日に死んでいる。何もかも諦めて、虫ケラのように静かに死ぬことを選んだ。
「セバスチャン、話があるの。」
月の美しい夜だった。その光はどことなく、鋭利だった。
「はい、何でしょう。」
セバスチャンは、読んでいた本をテーブルに置いて、私を見据えた。
「そろそろ、復讐劇を始めましょう。うまくやれる自信は無いけど……一緒に、してくれる?」
私の声は、興奮に打ち震えていた。口角は、知らず、上がっていた。
「えぇ、喜んで。どこへだって、お供しますよ。」
妖艶に言葉を紡いだセバスチャンの瞳は、真紅に輝いていた。
私は、さらなる興奮に、この身をふるりと震わせた。
『第3章 了』