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ゆりかご 【黒執事 R18‐G】

第3章 快復



 それからも、私は少しずつ食べる分量を増やし、なるべく毎日散歩に出かけてリハビリをし、ついでに不動産屋にも出向き、次に契約する賃貸マンションについて話をするようにした。
 服は、今まではなるべく節約して、安いものを大切に着ていたのだが、特に気に入っていたもの以外は全て捨てた。代わりに、体調の良い日にセバスチャンと一緒に買い物に行って、小奇麗なものを数点見繕って、外出の時にはそれを身に着けるようにした。セバスチャンの古典的な燕尾服はとても魅力的だけれど、外へ出る時には流石に目立ちすぎるので、普通のスーツと、季節に合ったカジュアルな服を、幾らか購入した。セバスチャンは、最初は不思議そうにしていたけれど、満更でもなかったようで、現代風の服を店員に選んでもらい、購入していた。私が選べれば良かったのだが、私はそこまでの美的センスを持ち合わせていなかったので、素直に店員に頼んだ。店員は所謂イケメンだったが、セバスチャンを見て、モデルのようだと褒めそやしていた。私から見ても、現代衣装に身を包むセバスチャンは、控えめに言っても、テレビか雑誌から出てきた人だった。普通の男性ではまず使いこなせないようなおしゃれば小物を、見事に違和感なく使いこなしている。私も、それなりに小奇麗な服装をしているはずなのに、セバスチャンと外を歩くと、明らかに私の貧乏くささが引き立っている。例えるのなら、超一流美形芸能人と、完全な素人さん……といった感じになる。それに、繁華街へ出れば、必ずと言っていいほど、道行く女性がセバスチャンを見て、振り返る。セバスチャンは、ただのイケメンじゃなくて、『悪魔』なのだが、そんな事、世間の女性が知る由もない。


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