第1章 Wake up, Me!!
「遥?」
左隣の声に意識を戻すと、距離20センチの近さで彩菜の顔があった。
「何ぼーっとしてんの?撮るよ?」
「あっ、うん。」
少しうわずった声が恥ずかしくて視線を逸らす。
彩菜は慣れた様子でタッチパネルを操作して、撮影ボタンを押した。
「はーい!撮るよー!」
機械のこてこてに作った甲高い声が狭い空間に響き渡る。
彩菜との距離が近い。
ピースする彩菜を真似て、あたしも急いでピースサインを向ける。
3、2、1・・・。
眩しい光に瞼が拒否を示す。
どうにか我慢する事に成功した。
「こんな感じだよ!」
画面に仲良さげな女子中学生2人のプリクラが現れた。
妙に目がデカイ写真に違和感を覚える。
・・・なんでこんな無茶な加工して、2次元に近づけるような真似するんだろう?
こんな事しなくても、素のままの彩菜の方が可愛いのに。