第1章 Wake up, Me!!
幸せそうな彩菜の顔。
「・・・うん。」
あたしの顔から笑顔が消えた。
「喜んでくれるんじゃない?」
言葉はどうにか消えずにすんだ。
「じゃあ買う!ありがとう!」
先輩。彩菜の彼氏。
彩菜もやってる図書委員の委員長で、成績優秀、性格良好、眼鏡紳士という少女漫画みたいな奴。
あたしが彩菜を好きになった時点で勝敗は決まっていた。
ずーっと聞いてたもん。彩菜のノロケは。
ワンピースを持ってレジに並ぶ彩菜がこっちに振り返る。
ぴらぴらと手を振ってくれた。
あたしも振り返す。
いくら胸がギシギシ嫌な音を立てていても、今度はしっかり笑えた。
ホント、憎らしいぐらい可愛い子だよ。