第1章 Wake up, Me!!
彩菜がマネキンから離れて、次のお店に向かうんだなって勘づく。
もう慣れたもんだけど、正直あたしには楽しくもない時間。
あー、彼女のショッピングに付き合う彼氏ってこんな感じなのかな?
だとしたら全国の彼氏さん、お疲れ様です。
「あっ!あれいい!」
彩菜はまた無邪気に別のお店に入って行った。
「はいはい。」
あたしはただただお姫様の後を着いて行く。
と思ったんだけど。
とあるマネキンがあたしの目に飛び込んで来た。
淡いピンクに大きめの白い花が全面に入った、花柄のワンピース。
ふわっとしたスカートの裾に触れると、手から滑るようにさらっとした触り心地だった。