第1章 体温で溶ける恋の味
それが格好いいと思ってしまうのが悔しいけど。
間違いなく、京治は私を指差して、好きな人、と言った訳で。
それなら、やり返すのも、アリだよね。
「京治こそ、味が分からないものを人に渡したの?甘いの嫌いだから、試食なんかしてないでしょ。」
「既製品だから、味は保証されてるよ。」
「保証されてても、味には好みがあるものだから。…今からでも、試食しないと、ね。」
一瞬だけ嫌そうに顔を引いたけど、私が唇にチョコを挟むと意図に気付いたようだ。
自分から近付いて、私の口元から半分だけチョコを奪った。
残りの半分を押し込むように、唇を完全に触れ合わせてくる。
ほぼ、じゃない。
普通に、京治とキスしている。
ファーストキスは、口の熱で溶けるチョコの味。
甘い甘い、恋の味。
幼馴染みの関係が壊れて、新しく恋人としての関係がスタートした瞬間でした。
体温で溶ける恋の味‐end.‐