第19章 ケモロンパ②
『……あ、猫が居る。可愛い~。』
「(あー、なんか人の好さそうな奴がいる。すり寄ったら飯でもくれないかな)」
『可愛いねー、市松模様のスカーフもよく似合ってるよー。……ここら辺で飼われてる猫ちゃんかな?。』
「(オレは野良猫なんだけど、リーダーの証みたいなもんだよ。秘密結社のトップの威厳ってやつ)」
『小柄だねー。ちゃんとご飯食べてるの?。さっきスーパーで買ったカニかまがあるからあげるね。』
「(やったー、ちょっと媚びればすぐに食べ物をくれるのって人間の一番の長所だよな」
『食べやすいようにちぎってあげるね。』
「(この人間なかなか気が利いてるじゃん。気に入ったからオレの匂い付けちゃお)」
『あはは、足にスリスリしちゃって可愛いねー。持って帰りたいくらいだよ。』
「(いいね~。雨風に困らなくて、探さなくても勝手に飯が出てくる生活なんて夢みたいじゃん……でも生憎オレにはまとめなきゃいけない組織があるから断らせてもらうよ)」
『ほら、カニかまだよ。減塩だから猫の体にもやさしいと思う。』
「(にしし……結構いけるじゃん。………そうだ、お前を秘密結社のアジトに連れてってやるよ。保健所にチクりそうな奴にも見えないしさ)」
『あっ……急に路地に入っていった。猫ちゃーん?。』
「(こっちこっち、ちゃんと付いてきなよー)」
『ちょくちょく振り返ってこっちを見てる……ついてこいってことかな?。』
「(お前ら、帰ったぞ!)」
「(リ、リーダー……何ですかその人間は………?!)」
「(新しい下僕だよ。たまに来て飯持ってくるかもしれないから連れてきた)」
「(もし近所から煙たがられて保健所に通報されたらどうするんですかい?)」
「(そうだよ! リーダーなんだから秘密結社に猫以外をそう簡単にほいほい連れ込まないでよね!)」
「(まったくだ、ここは公衆便所じゃないんだぞ……誰彼勝手に出入りされたら困るんだ)」
『わぁ……たくさん猫がいる。こういうのが猫の集会所ってやつ……?。』
「(お前ら騒ぐなよ。これから冬に備えて何が必要か分かるか? ……そうだ、食糧の確保だ! オレら猫は冬になると寒くて活動量が減るから飯もあんまり探しにいけない。そして猫に支配されている人間は猫に餌をやりたがる奴が多い。それを利用するんだ)」