第24章 こんにちは、フィクション。③
「皆、何があるか分からないわ。気を付けて行きましょう」
「よーし! 頑張っちゃうぞ!」
「女子は転子の背中に隠れてください!」
「あ……男は守る気ないんだね?」
トンネルの中を進むと金属で出来た重そうな扉があった。
そこをみんなで押し開けると、穴や宙を舞う爆弾なんかがあるのが見えた。
意気込みながら各々前だけを見て走っていく。
一応みんなのペースに合わせながら進むと、次々と先陣を切ったメンツが脱落してしまった。
落ちる者、撃墜される者、捕まる者など様々だ。
気が付けば、1番後ろを走っていた私だけが最後に残っていた。
『……………。』
どうせ出れないんだろうな……。
痛い思いするより前に適当な穴に落ちておこう。
そう考えてみんなの落ちたのと同じ場所に飛び込んだ。
「あいててて……」
近くで女の子の痛がる声が聞こえた。
意識がぼんやりとする中、うっすらと気絶していたことに気付く。
あぁ、どういう訳か最初のトンネルの前の地点に戻されたみたいだ。まぁゲームだから有りだろう。
私は溜め息を吐きながら起き上がる。
「こ……この程度じゃ諦めないよ! 何回かやればきっと成功するって!」
「んあー、もう1回くらいならやってもかまわんぞ」
「あぁ、その意気だぜ!」
そしてまたトンネルの中へ進んでいく。
………でも駄目だった。何回やってもみんな脱落していく。
少しずつ慣れて進める距離が伸びてるかと思うとそういう訳でもない。
まぐれで初めての域に達しても次はその手前で全滅する。
みんなちょっとずつイライラした空気を纏い始めた。
「お、押さないでくださーい!」
「ちょっと、足踏まないでヨ……」
「オレ様の足下で気絶すんなよ! 転んじまうかもしんねーだろ!?」
「んあー、もう歩きたくないんじゃ……」
「神様はここら辺で止めておけって言ってるよー」
何回目の挑戦だったかな。体感時間からすると3時間は過ぎていたと思う。
白い服の男の子が我慢の限界を迎えて、それをきっかけにみんな音符のヘアピンの女の子を責め始めた。
壊れ始める結束と謝り続ける女の子。私は何も言えずにただ様子を眺めることしか出来なかった。
結局その日はもう解散になって、みんな黙って自室に帰ってしまった。
私も少し遅れて外に出る。自室に行くのもいいけど、その前にモノクマに会わなきゃ。
そう思って校舎に入った。