第23章 ラブコールサテライター
「も、百田君……大丈夫……?」
最原もまた先程とは違う種類の心配をしながら百田から少し距離を取った。
「へっ……大丈夫だ、気にすんな。ただ別れの挨拶を返してやっただけだ」
戸惑う最原の横を通り抜け、コールドスリープの部屋に入る。
「(お前の気持ちはちゃんと届いたぜ……あんな別れ方して悪かったな。最後に会えなかったのはお互い様だが、俺が意固地になっちまったのも原因の1つだ。素直になれなくてごめんな……俺もお前のこと愛してる。もう一緒に生きていくことは出来ねえが、お前の分までちゃんと生きてやるからな)」
涙が目の表面に薄く膜を張る。それを隠すようにギュッと瞼を閉じ、百田は気を引き締めようと自らの頬を叩いた。
そんな彼を乗せ、宇宙船は静かに星を掻き分けながら進んでいく。
隕石の降り注ぐ地球に背を向け、人類の遺伝子を抱えさ迷う果てなき旅路が始まった。
それは人類の繁栄の新たな歴史になるのか……はたまた永遠に保存されたままの16人を乗せ船体が朽ちるまで宇宙を放浪し続けるのか………それは誰にも分からないことだった。