第21章 こんにちは、フィクション。②
「みんな揃ったみたいっすね。それで……問題のマンホールはどこっすか?」
「えっと……あの草むらの中だよ」
「草むらの中に大事な穴ってか! 女の体と変わらねーな!」
ゴン太くんがマンホールの蓋を持ち上げ、少し離れた所へ放った。
みんなモノクマやモノクマーズが来ないことを不審に思いながらも順番にマンホールの梯子を降りていく。
長い梯子をしばらく降りていくと、やがて開けた空間へと出てきた。
もちろん薄暗くて湿っぽいけど、下水道が直で通ってるわけでも狭いわけでもないから安心できた。
「……想像してたのよりも広いな」
「やっほー! やっほー!」
「声がよく反響するネ」
白い服の男の子が声を響かせて楽しんでいる。
確かに音が反響しやすい場所だ。みんなのざわめきが跳ね返って余計に気味の悪い空間になっている。
「ここって……なんなの?」
「古い工業用の通路みたいね……昔ここに工場でも建てられていたんじゃないかしら?」
「あぁ、それが今も残ったっつー訳か」
「それより……あれを見るっす」
如何にもな考察が上げられ、みんなで納得するなか、緑の頭の男子が隅にあるトンネルを指差した。
「親切に、ちゃんと書いてあるっす。このトンネルの先が出口らしいっすよ」
「……親切なんですか? わざわざ"出口"なんて書いて怪しくないですか?」
トンネルのすぐ脇に「出口」と書かれた木の札が立て掛けられていた。
確かに怪しい。チープな罠みたいなやり方だ。
「ま、とりあえず行ってみるっす。ここで立ち止まってても状況は変わらないんで」
「それは……そうだけど……」
「心配しなくても大丈夫だよ! そりゃあ、ちょっとは危ないかもしれないけど、これだけ"超高校級"が揃ってるんだし……みんなで協力し合えば、絶対になんとかなるはずだって!」
きっと大丈夫、そう励まし合いながらみんなはトンネルの奥へと歩いていく。
まぁ、これが出口ならそれに越したことはない……。
でもこれはダンガンロンパなんだ。出口なんてない。
1の時だって2の時だって簡単に出られる出口なんてなかった。絶女では無理に突破しようとしたキャラが死んじゃったし、これもゲームと同じで都合よく逃げられはしないんだ。
頑張っても無駄……なんて思うけれど、僅かばかりの希望を持って進む彼女らを見ると口が裂けてもそんなことは言えなかった。