第7章 君が唄うラブソング ※【月島蛍】
奈々子さんの腕が、僕の首の後ろに伸びてくる。
体をくっ付けて、頬を擦り合わせ、耳元で囁く。
「そんなこと言われたら……蛍くんとの未来、いっぱい想像しちゃうよ?」
「いいよ、しなよ」
僕もベッドに横たわり、奈々子さんの体を改めて抱き直した。
潤んだままの瞳が、すぐそこにある。
こんなにも間近で奈々子さんを見たことはなくて、不覚にも胸の音が高くなった気がした。
「一緒に住んだら、行ってらっしゃいとおかえりなさいのチューは絶対したいな」
「うん」
「明光くんがホントのお兄ちゃんになる日が来たら、嬉しい」
「…うん」
「蛍くんのご両親、どんな方たちかな?」
「別に。フツーのオジサンとオバサンだけど」
「ふふっ。そうなの?会うの楽しみ」
「うん」
「蛍くんが育った場所も、いつか見に行きたい。友達と遊んだ公園とか、学校とか、バレーしてた体育館とか。蛍くん、子どもの頃から可愛かったんだろうなぁ。あ、お母さんに赤ちゃんの時の写真、見せてもらえないかなぁ?見たいなぁ」
さっきキスしたばかりの唇から、僕が曝け出した言葉への返事がひとつひとつ返ってくる。
やっぱり……奈々子さんが愛おしいよ。
「写真じゃなくても、子どもが僕に似たらわかるんじゃない?」
目の前の瞳が、丸くなる。
「ま、奈々子さんに似るかもだけど」
「……どっちだって、最高に嬉しいよ」
目と目で微笑んで、もう一度、甘いキスをする。
「緊張、ほぐれた?」
「うん…。幸せいっぱい」
「じゃあ、もっと幸せにしてあげる」
「ん…」
「 "気持ちよすぎて幸せ" ってね?」
「え…」
油断大敵だよ。
奈々子さんの体の上に覆い被さり、手首を掴む。
僕は出来た人間じゃないから。
大人しく "待て" したままなんて、到底ムリだし。
「蛍く…、んんっ、」
舌で舌を掬いながら、今度こそ素肌を露にしていく。
恥ずかしがる奈々子さんは新鮮で可愛いけど、快感によがる奈々子さんも早く見たくて仕方がない。