第7章 君が唄うラブソング ※【月島蛍】
ひとつの恋が終わった―――。
汐里を好きになって後悔していることは、少しもない。
赤葦さんと上手くいって良かったと思ってるし、汐里には幸せになってほしいし、自分の中でケジメもつけた。
ただ、人を好きになるのって存外パワーがいる。
今回は見込みなしの恋をしてしまった分、自分自身の感情の変化に振り回され、疲れてしまった。
恋愛は、当分いい…。
そう。元々僕は疲れることには向いてない。
今までどおり、緩くマイペースに、淡々と。
そんな風に、他人に乱されることなく過ごすのが一番だ。
それなのに…
「ねえ、蛍くん。好き!」
「……何回言うの。わかったってば」
「だって何度でも言いたいんだもん。いいでしょ?」
どうして僕は、この人に抗えないんだろう。
平穏は、どこ行った…?