第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
*黒尾side*
何だ…?
梨央が何か、妙に、すっげぇ…エロいんですけど…!
露天風呂で二人、あれやこれやしようと目論んでいたところだった。
それがこんな風に梨央に誘われるなんて。
まるで予想外だ。
でも……躊躇う理由なんて、正直言って微塵もない。
「なーんか、積極的じゃん。どした?」
動揺したことはひた隠しにして口先だけで煽り、梨央が寝そべる布団に同じように体を横たえた。
梨央は無言のまま。
すぐに、細い腕が俺の胴体に巻き付く。
色っぽく誘ってきたくせに、先手を打った梨央は俺の頬にちゅっ、と小さくキスをするだけ。
堪らず、艶のある唇を求めて顔を寄せる。
すると、手の平で顎をグッと押し上げられた。
色気もへったくれもねぇ…。
「梨央サン…どゆこと?」
キスしちゃダメなの?
イチャイチャしようって言ったじゃねぇか…。
意味がわからず、梨央に疑問を投げ掛ける。
そしたら、俺の顎から手を離してフフッと艶かしく笑った。
「私から、するの」
「……っ」
おい…
何だ…?
首へ腕を回し、体をぴったり密着させて、俺の唇を舌で割ってくる。
俺……攻められてんのか……?
ていうか、こんな梨央がすごく新鮮で…。
やべぇ…興奮する…!
厭らしく音をたてる舌と唇に、俺のそれも乗せていく。
物足りなかったら形勢逆転、攻め立ててやるつもりで。
それなのに、物足りなさはなかなかやって来ない。
梨央の方からこんな淫らなキスを?
おいおい、こんな風に押されるの、初めてじゃね?
数か月前、まだ俺たちが男女の仲になっていなかった頃。
あの頃の俺が梨央のこんな姿を知ったら、度肝を抜くに違いない。
今、俺は梨央に求められている。
そして、俺の前ではこんな風に欲を曝け出す梨央がいるのだという事実。
湯舟で梨央の肌に触れて、吸い付いて、事に及ぶまでゆったりと時間をかけようと思っていたのに。
梨央に煽られる形で、一気に熱情が加速していく。