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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第9章 騎士達の凱旋





同時刻。

真綿がその異能力を振るう寸前。

織田作が、その異能力に頼らなくなる寸前。



ポートマフィア本部ビルの最上階。

その部屋の中には、殺気が爆発的に膨れ上がっていた。



「安吾を介してミミックにポートマフィアの情報を操作させ、ミミックが噛みつくようにした。
そうでなければマフィアも反撃をしないから。

特務課はそう考え、安吾に作戦を指示した。


向こうはこちらとミミック……
両方を一気に叩くつもりだった。」



マフィアとミミックは双方が犯罪組織であり、異能特務課と衝突することは避けられないことだった。

だから、厄介なミミックなる組織を、マフィアに嗾けた。


太宰の推理に、森は相変わらず笑みを浮かべているだけだ。



「政府機関は我々マフィアにとっても鬼のような存在だよ。
気軽に操れる相手じゃない」

「だからこそ、こんなにも大掛かりな仕掛けを描いたのでしょう。」


太宰が、森の手元にある、黒色の高級封筒をしめす。



「––––その封筒には、それだけの価値があったから。……ですよね?」



森の笑みが深くなった。

太宰がその封筒の中身を取り出して、机に置く。




「––––異能者組織としての活動を許可するこの証書……

"異能開業許可証"を取引材料に持ち出した。


我らポートマフィアがミミックに狙われることを良しとし、これを貰った。
そういうことですか。」



森の合理性にはつくづく嫌気が差す。

この紙切れ一枚のために、織田作と真綿が対価になったのだ。




ぎり、と歯噛みした。

滲む血の味は、もう慣れてしまって、何の味なのかも定かではない。



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