第1章 荘厳にして、可憐
「そうだね…
もう、いない奴と比べたところで、意味などないものだ」
「そういうことかよ…」
真綿がきゅうと袖に爪を立てた。
私が痛くないように、なんて好意は嬉しいけど
その爪の痛みが 男にとっては愛しいのだから。
白い肌に糸を引き、蜜が絡む。
その蜜を指先で、愛しげに掬い取る。
「そういえば、私の部下が押収したのだけどね?
あの男。
君のを、瓶に集めていたみたいなのだよね」
「は。ほざけ。」
その額に滲んだ汗が、どうしようもなく愛しい。
「冷凍庫に、冷凍保存してあったって…」
「疾く捨て去るが良い」
言われずとも。
私がきちんと捨てさせてもらった。
「彼奴め… やはり縊っておいて良かったではないかよ…」
「それが目的だもんね」
説却と…
先ほどから、誤魔化しようもないくらいに
勃ち上がったものを真綿に捧げないと
「待つが良い… おさ、ちょっ、ん…っ!?」
真綿の言葉の途中で、指を曲げて搔き乱した。
不意打ちだったからか、
真綿が余裕のない声を出した。
「何? やめないよ?」
「違う… ひどく久しぶりで……、だから…」
真綿が言ってくれることを、私は悟れた。
「口で、してくれるのかい?」