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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第47章 Re:birth …II





車の中、運転しているのは国木田で
与謝野女医を抜く五名が、午前の街中を見渡す。


車の後ろに乗せられた社員の鞄とは別に、沢山の武具や武器、火器の入ったケェスも幾つか。



「……与謝野女医、どちらに向かわれたんですか?」

「知人と少し『お話』してくるんだって」


太宰の問い、お菓子を食べる乱歩がすぐに答える。



知人……ねえ……

太宰が思いつく与謝野女医の知人など、一人しか心当たりがなかった。


でも、その正体を知ってしまった今……
与謝野女医が一人で彼の元に向かうとは到底思えない。

危険過ぎる。




幻影幻惑、戦意喪失等々……

対象の深層意識に潜り込んでくる技を、
三島君は隙さえあれば、ばんばん使ってくる。


ぎりぎり反則行動に引っかからないような外道な搦め手もたしなめば、
直接出向いて異能力を使うときもある。

そこを狙おうにも中也がいる。


こうも攻防一体の連携が良すぎるペアだと完全に此方の分が悪い……



「……まァ、小細工なしの肉弾戦ってだけなら、
こちらの戦力的に社長も国木田もいるのだし、苦戦はしないと思う。

だけど舌戦となると完封勝利は否めない」



……?

その口ぶりだと、乱歩さんも彼を知っている?



「間違いなくこれが本当の前哨戦になるよ。

たとえ与謝野女医が
彼らとうまく話をつけてもつけられなくても、僕らの邪魔立てをするのなら」




キキーッと車が急ブレーキを踏まれ、いきなり止まる。

「わっ」



「早めにこの舞台からご退場願おうじゃないの」



車から外を見れば、与謝野女医が立っていた。




「交渉決裂って顔だ」

「……まあ、相手が相手だからね。
あの彼相手に口先で勝とうなんて思うだけ無駄なんだよ」


太宰も真冬も、それは身に染みるほどに理解している。



「戦える?」

「戦える」


乱歩の問いに、与謝野女医が答えた。



彼が敵組織に与しているというのなら

戦いあう選択肢しかないのだ。



この世はそう出来ている。





たとえ彼が、自分が思いを寄せている人物だとしても。






「……よし、行こう!」




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