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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第47章 Re:birth …II






––––けほっ、けほっ……


小さな咳。


それが自分の研ぎ澄まされた聴覚によって拾われるたびに、彼女や小さな女の子は彼に寄り添った。



『ユキ、少し寝たらいいわ。
リンタローの相手、こんな時くらいは真綿に任せてしまって』

『そも、お二人を守るのは妾の役目さね』

彼女が笑う。

小さな女の子はクレヨンを机に寄せて、
水差しから水を注ぐと彼女へと渡す。


『……また、明日。
会えるわよね?』


『うん……また明日だね。

お休みなさいませ、エリスお嬢さま』











––––けほっ…


小さな咳が聞こえた。



だから自分は、毒の塗られた針を投擲しようとした手を止めたのだ。

ぢん!と自分の頬の横を通り抜けた弾丸が、アスファルトに突き刺さる。




「……ま、明日の朝刊はこれで飾れたであろうさ」


とん、と屋根上まで跳躍して月を見上げた。


黄色い残月。
まるで細めた虎の瞳のようだった。



一連の流れでいくと、人攫いは自己顕示欲が強い。

だからきっと、これだけ大きく事を立てれば
誘導されていると気付いたとしても食い付いてくる。



漆黒の、濡れた暗い双眸に映る金の月。




「……多神、ね」




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