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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第46章 Re:birth …I






「……と、考えるだろうね」


三島が一人でにそう言ちた。


彼の読みは大体、追いかけて来るであろう向こうともに当たっている。




「追いつかれたらどうすンだよ」

「平気。布石はすでに」


ビルとビルの合間を縫って、複雑な軌道を描きながら異能力の紫色が星空に架かる。




こちらとてかなりの速さで逃げている。

捕捉されるとすれば、土地の拓けた
遮蔽物のない平地だろう。




「僕たち部外者が、違う土地からやって来て、
今回の一連の主役そっちのけで注目を集められれば……

相手だって、良い気はしないよ」


「派手に争うほど、敵も大きな一手を指して来る?」


中也の言葉にうん、と三島がうなずいた。



「だから取り敢えずは
僕らが来るより先に把握していた、この地にいる異能企業の戦力を知りたい」


すなわちこれは、前哨戦以下。



「嫌なとこから手ェつけんのな」

「そのために僕がいるんだろう」


抱えられた三島が笑う。




理性的で、それでいて冷たさのある瞳。

一枚の絵を見る要領で、背後の景色一帯を見つめる。



「––––来る」

「中也、銃抜くよ」


中也の腰に吊ったホルスターからマカロフを引き抜いた。



五大幹部ともなれば、常時携行は当たり前。


あの暗殺者の彼女は、常に
森さんとエリス嬢をお守りしていたし、

当時まだ準幹部であった中也は
幹部の太宰や三島を守るのが当然だった。


それが繰り越しになったとはいえ、中也にとって三島は今は同じ身分の同僚。



守る義務なんてものは簡単に

日常の『当たり前』に染まるのだ。



【仮面の告白】がサイレンサーの役割を果たしたのだろう。

間近で鳴った銃声が、夜の住宅街に響くことはなかった。



ぢん! と地上近くで、撃った弾丸が
投擲された長針を叩き落とす。

赤い火花が見えた。



硝煙が障ったのか、三島が眉を寄せる。



「戻ったら清浄機掛けるからな」

「平気だよ……これくらい…」




二撃目が来るかと思ったが、一向に来ない。




……まるで……



三島の身体の事情を知っているから、

この手段を取り止めたという風に。





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