第46章 Re:birth …I
「ここが……か」
「うん。坂島だね」
外からでは様子が窺い知れないように、
地下駐車場へとその黒塗りの高級車は停車した。
他の全く同じデザインで作られた車が先行すること三台。
その後ろに、カモフラージュで中也の乗った幹部車両、また二台ほど部下が乗せられた車が続いて、三島の幹部車両。
……計七台の高級車というポートマフィアからの戦費は、多い方である。
部下がドアを開けて、三島が降りた。
中也は既に降りていて、この幹部二名を囲む黒服の部下は一斉に頭を垂れた。
「……すぐに済む一件ならいいンだけどな。
先のヨコハマ大火事で溜まった報告書がまた進まねェじゃねえか」
「ま、最悪、口頭を録音すれば同じことだから、大分ましだと思いたいなあ」
かくいう三島とて、この坂島で起きた不可解な謎––––
人が何百単位で一夜にして失踪した、だなんていう事件が終われば、
また長い長い眠りと休養が待ち構えている。
もしかすれば、特A級危険異能力者を動かしたという懲罰で、
本格的に地下牢へと移されるかもしれない。
……まあ、あそこの花畑が鳥籠であるからして
現状とさして違いはないのだが。
「……で、だ。中也」
「ん?」
時計を見遣れば午後八時を回る頃。
三島の、何やらその無駄に女受けする美しい(のであろう)貌が、神妙になった。
自然と中也も聞き入る。
部下たちも頭を下げながら緊張が走った。
ポートマフィア五大幹部、その二人がここにいる。
それだけで空気は、恐怖や絶望へと書き換わる。
皮肉なことに、そして残酷なことに
その恐怖や絶望を目に見えるカタチで具現化した姿が、こんなに見目麗しい青年たちなのだ。
「……夕食の時間だよ?」
脱力した。
「てっ…、めえ、何事かと思っただろうがっ!」