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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第25章 Scarlet Heart…II



一方……半日前。




「……中原幹部、お食事をお持ちしました。
失礼いたします」

「おー」




三回のノックの後、最上階である中原幹部の執務室に


軽食の乗った銀色のワゴンを押し、

その重厚で豪奢な扉を両手で丁寧に開け放つ。




「…………」

「ありがとな、菜穂子」

「いえ」



執務机の上は資料が散乱し、

所々に三島幹部の手書きの文字が綴られた補足資料が見あたる。



シングルベッド一つぶんくらいはありそうな大きい卓なのに、

天板がほぼ見えないほど 散らかっていた。




「あー……ワリ、ちょっと待ってくれ」

「はい。 だと思いまして、収納式机を配備して来ました」



応接机のある方へ、机を広げてテーブルクロスを敷いた。

メイドと言うよりは執事役。




ずっと昔、暗殺者のあの方が まだマフィアにいた頃……


あの彼女は、首領とエリス様の執事役をしていた。





「此方へお越し下さい、中原幹部」

「……菜穂子、なンか三島に似て来たよな……」

「えっ」



部下は上司に似る、そんな事は聞いた事がない。


子は親に似るし、鳶だって鷹にはならないけれど……




「どの辺りがですか」

「疑問符付けようぜ」

「どの辺りがですか?」


食事を置き、問う。





「……雰囲気?」

「そ……そうですか」



雰囲気は変えようがない。





寧ろ、今までの私の振る舞いなど



あのお優しい三島幹部に少しも似ていないような気がしたのに。

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