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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第22章 白と黒の境い目…太宰治誕生日 6月19日記念


「嗚呼……君の匂いだ。
夢だと言うのに君の全てが、私の中の君と一致しているよ。

酷い夢だ。
本当に。

覚めるのが惜しい。」



肩に感じる真綿の柔らかな黒髪の感触がくすぐったい。

私は目を閉じてしばらくそのままでいた。




「覚めることが決められている夢ほど、甘くて生易しいものはなかろうよ……
なあ、治。今の治は何をしているんだ?」


「今はね……織田作との約束通りに、人を助ける仕事に就いたんだ。」


君と二人で歩く夢を見たんだ。

織田作との約束を守ったよ。




「……頑張っているのかな……治は」

「そりゃもう、いつか真綿に会える自分に、自信が持てるようにね。精進しているとも。」

「そう……」



抱きしめている華奢な肢体の温もりが

夢なのにすごく現実的で、惑わされる。




「治」

「ん?」

「誕生日おめでとうだ」



真綿の両腕が私の背に回されて、近かった香りがもっと近くなる。

生殺しだよ。


本当に酷い。




「うん……ありがとう。真綿……会いたかった……」





視界の端、景色がだんだんと裂けるように


この夢のひずみが、ほつれが見えていた。
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