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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第17章 もういいかい?




「真綿」

「む?」


パソコンで資料を作っていた真綿が、国木田に呼ばれて椅子ごと振り向いた。

ちなみに来たる新入社員とやらのために作っているとか社長が言っていたが……




「済まないのだが、この依頼をだな……」


しかし、資料のテクスチャは出来上がったものの

まだ形にはなっていない時に国木田に何やら渡された。



「む、むぅ……この後、新入社員が来るというのに……?」

「手のあく戦闘員が真綿しかいないんだ」


嗚呼、それなら仕方がないかと真綿が頷いた。
非戦闘員が行くわけにもいかない。



「ふむん…… ま、すぐに片付けてみせるさね。」

「ありがとうだ」


国木田からの依頼資料を受け取った真綿が

すぐに出かける準備……は常時してあるから(急襲された用に)、武具を袂に仕舞い込んだ。



「これが済んだら商店街の見回りをついでにして来よう。

あの宝飾店の強盗も
まだ完全に安心できるものでもないだろうさ」


「頼んだ」


頷いた彼女の腰まで烟る黒髪がひらりと舞い、その袴姿が消えた。



「国木田––––」

「社長」


社長が、真綿の消えたのを見てから社長室を開ける。

まるで人払いだ。



そも、渡した依頼も本物ではあるものの、非戦闘員が行っても差し支えないものだ。



真綿が確認し損ねたのは、渡した依頼資料が封筒に入っていたからだろう……

その場で開けるような不作法を真綿がする訳ないという社長からの信頼。



「真綿は」

「行きました」


社長がそうか、と息を吐いた。

武装探偵社の外では、とある元暗殺者が絶句しているだろう。
何せあの中身は単なる仕事、しかし出張だ。



「……何故、新入社員と真綿を会わせないのか、聞いても?」

「……真綿には、あの長い髪を切れと言ったらどうするか聞いた」


はい?と国木田が首をひねる。

確かに、言葉と質問が全く繋がっていない。




「はぁ……それで…?」

「『あるじ殿がそう言うのなら切る』と言ってな」


まあ、それはそうだろうなとは国木田も理解済みだった。

あの綺麗な長い黒髪を一思いに切れるなんて大したものだと思うが、真綿ならばそれくらいはするだろう。




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