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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第14章 明くる日の戦士たち


彼女と肌を重ねるのは、初めてなんかじゃない。

最初は、そう、ちょっとの興味。



仕事や任務の成果のためなら、例えどんなことをしてでも––––

最終的に殺してしまうのだし、彼女は構わず厭わずだった。



だから、勿論何もかも受動的で……

ただ、拾ったのは確かに僕だったけど…その頃の僕は福沢さんに真綿が従えばいいかなって思ってたから……

だから真綿を福沢さんに預けた。



どうせ住まわせるのも、福沢さんの家だから…って。

あの日だって。


目の前の地獄から、朽ちる寸前の真っ白い君を拾い上げた。



純白だった着物は血の色で紅に染まり、濃紺の羽織もぼろぼろ…

水溜りが目の前にあったけれど、靴が濡れることも気にせずに、あの時の僕は躊躇わずに彼女に駆け寄った。




世界の御名を冠する暗殺者。

この白い彼女が行くのは、間違うこともなく虚空の地獄。



ただ、まだ、まだだよ。


そこに落ちるのはまだ早い。
刑に処されるのはまだ早い。



抱き上げる彼女から、血という中身がこぼれないようにそっと抱き上げた。




「君は死んだ。

あの時会った、君という存在は、こうして幕を下ろした。

お疲れさま。

じゃあ、名もない君という透明な存在に、この稀代の名探偵が残酷なことを告げよう」



夢の中で微睡む彼女に話しかける。


この世のどこかの最果てに、彼女の行き着く先があるのだとしても。


まだ、早いよ。


価値がなくなったのなら僕が君に、所有物として価値をあげる。


僕たちが君の道しるべになってみせる。

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