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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第11章 三者三様のイフ


某月某日。

陽の光が届かない、索敵 探知 共に不可能な地下街。




「……みんな、今は何をしているのかなぁ」



包帯を頭や首に巻いた、秀麗な顔立ちに蓬髪の青年が

そっと細く息を吐いた。



一年前のミミック事件……



ポートマフィアから抜けた自分は、犯罪履歴を一切 洗うために

人目に触れない、地下の街に身を置いていた。




此処には自分以外にも沢山の犯罪者たちが


同じような目的を持ち、

互いに身を粉にして、再生を図っている。





「真綿……」


この一年で、その名をいくら呼んだだろう。




いない者に執着し、未だ諦められずにいる自分は愚かだと

そんなのは判っていた。



永遠を欲して、恒久を願った。

私たちのいた、暴力と殺戮とは無縁の世界……



あの花畑の彼は、まだ生きているのだろうか。

いけ好かない元相棒の蛞蝓 中也は、どうしているのだろうか。


あの日 一線を引いた、こちらと向こうの価値の違う世界観。




推し量ることさえ野暮に感じて、それでも……

あの白昼夢のように楽しかったと思えた生活が


今になって、懐かしいだなんて思えてきた。




「私の犯罪履歴が洗えるまで、あと一年……かー…」



先は長い……


第二の人生が、太宰の中で始まっていた……。
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