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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第11章 三者三様のイフ


某月某日。


ヨコハマ、中央部のポートマフィアの建物内……

そこが所有する、『白昼夢』の箱庭にて。




「はは、心配掛けてしまったね」

「ンな訳あるかこの花好きクソ紳士……、さっさとその怪我治しやがれ」



彼の病室であるその温室は


首領と、三島の昔なじみである中也と、
三島の直属部下の女性 一人を除き面会謝絶状態だった。



あのミミック事件後の間も無く

三島の容態が急速に悪化したからだ……


引き起こす頻度が増えた発作と、身体の不調が長引いた。



「うーん……矢張り、僕はこの花園に引きこもっていた方が良さそうだ」



「ハ、抜かせ。
早く治して任務に行くぞ。

手前ェと一緒だと、手前から滲み出る異能に、頭 冒された人間共がわらわら来るからな。

殴りがいがあるッてもんだろ?」



だから今はゆっくり休め––––……



三島は、常人が睡眠で得るエネルギーが自身のそれと等価交換されない。


三島は、自分の異能力から滲むものを吸い込んだ人たちからの、

三島に向けた無償の『愛』を徴収し、糧にしている。



あとはこの白昼夢の楽園に来る奴らの『見る夢』だ。



「ッ、けほ、っ–––––」

「いけない。疲労は大敵なのだからね、三島君」



森がモニタを見て言った。

にこと穏やかに微笑む三島が、緩やかな発作を起こした。



数年前、この彼をこのようにした

あの暗殺者の彼女の異能力




先に死を確定付けるあの起因性質は、

あらゆる治癒系異能力との相性が最悪だった。




「上橋、悪いけど定時の水遣りを頼むね」

「は。お任せを」


菜穂子が丁寧に三島へと腰を折った。




此処の花園は冗談じゃない程に広大だ。

十万を超す花が咲き誇る花畑の水遣りは、三島の手製だった。




「皆の見る白昼夢を、ね。

壊してしまう訳にはいかないだろう?」



ミミック事件から一年……

ポートマフィアにいる彼らは、重役人物であった真綿と太宰を損ない

中原中也が五大幹部へと昇格した。



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