第2章 静謐なる暗殺者
「さてと…此度はお集まりありがとう、真綿君」
「嗚呼……よい。気にしなくて」
花房真綿の暗殺任務が済んだ後。
ポートマフィアの五大幹部と言われる幹部達と
首領である森さんが、馬蹄形の机に向かい合う。
ちなみに五大幹部とは
私…太宰治と
尾崎紅葉(紅葉姐さんが通称)、A(エース)
そして最古参の真綿。
残り一席は、療養中で詳細不明の幹部だ。
「さて。定時報告を始めようか」
「は。」
首領が相変わらず、感情の読めない笑顔で促す。
手元の資料をめくりながら、Aの報告を聞き流す真綿。
「現在、西方で勢力を伸ばしつつある組織ですが––––」
Aの報告を聞いている隣の席の真綿から
ふむん……と吐息が聞こえてきた。
「随分、他の組織も手こずっているようだね…
真綿君、行けるかい?
一年間の任務で帰ってきたばかりで悪いのだけれど」
そんな森さんの言葉に、真綿が足を組んで、くっと笑う。
好戦的な瞳だ。
「構わぬさ。
貴様が良かれと思って言ったんだろうよ。
しからば妾が干渉する必要もないだろうさ。」
真綿の言葉を聞き、森さんたちも納得したようだった。
「ただ…のう––––」
「む?」
煮え切らない様子の紅葉姐さんに首を捻る真綿。
ぬいぐるみの小首でも傾げたようになる様は、小柄な真綿には似合っていた。
「敵の総数が多い…とな」