第6章 SSS キャラ×男主:電子作品篇(―/27日更新)
★TASザバーニーヤ
施設を丸々改装して出来た『職業体験センター』に遊びに行くと決めた日に、ザバーニーヤさんが「我が主よ、私を道具としてお役立て下さい」と申し出てきた。
どうにも世話焼きな気質があるようだけど、本人にそれを言うと決まって苦い顔をしながら「是正様、私は世話をしたいのではなく、貴方様の為に尽くしたいだけなのです」と言う。世話焼きと尽くしたがりの境界ってなんだっけ。どちらも同じに聞こえるけどな。
「ごめん、警備員の職業体験だからザバーニーヤさんの力は要らないよ」
「いえ、きっと私の力が必要となる場面がございましょう。是正様は直ぐに困難へと身を投じる御方なれば。貴方様のみが使いこなすこの槍、いかなる災いも業火にて払い除けてご覧にいれましょう」
「お、大袈裟だって……!」
しかしザバーニーヤさんの予感は見事に的中し、体験中、本当に現れてしまった不審者の撃退に一役買ってくれたことはまた別の話だ。
★TASザバーニーヤ
「アイゼン、これが例の書類です」
「確かに」
「それじゃ、またね」
「なにが『またね』だ! 度々来るでないわ、恋愛特異点め!」
「……仕方ないじゃん。リヒトが書面にして欲しいって言うんだから」
「そんな甘えた声を出しても無駄だ! 私を誑かそうとしたって……――っ!」
そこまで吠えたアイゼンはとつぜん台詞を切り上げたかと思うと表情を強張らせた。次の瞬間には第三の眼を開き、きょろきょろと忙しなく眼球を動かしている。どうしたの、と俺が動揺しながら声を掛ければ顔を真っ青にして三つの視線を俺の背後へ投げた。振り返ればお供に来てくれたザバーニーヤさんが居るだけだ。
「……ザバーニーヤさんがどうかした?」
「――こ、この愛欲と妬みの強さはオピオーン様以上か? このアイゼンが恐怖ゆえに恋愛特異点への躾を途中で切り上げる羽目になるとは……」
たじろぐ巨躯が半歩ほど下がると、ザバーニーヤさんの太い腕が腰に回って引き寄せられる。耳に降り掛かった「是正様、何があろうと私は貴方様の味方です。貴方様を貶める万物を必ずや焼き払いましょう」という言葉に、よく分からない寒気が走った。
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