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日章旗のデューズオフ

第3章 阿散井恋次&京楽春水(BLEACH/酒宴の悪戯)



――その頃の恋次達はというと、俺が京楽隊長に襲われて汚く喘ぐ声を聴いて妙な雰囲気になっていたらしい。らしいというのは、後から奴が『お前の声ってヤベェのな』と、興奮に血走った目を向けながら俺に陶然と囁いてきたから知っているのである。
「京楽隊長、そろそろ止してください。名前が……」
さて、笑い過ぎて過呼吸寸前といった時期になって漸く恋次が助け舟を出してくれた。巨躯の下から引き摺り出された俺が疲弊しきっていたせいか、友人は酒宴の席にしては珍しく表情を曇らせると、隊長へ真剣な苦言を呈してくれた。真剣と書いてマジと読む。
ありとあらゆる体液で顔がぐちゃぐちゃに濡れていた俺は、その辺に落ちていた布を適当に手繰り寄せて顔を拭いたが、涙を払った目を凝らして良く見ると、檜佐木先輩の死覇装だった。
「うわ」
「人の隊服に洟水付けといて『うわ』はねェだろ」
「きたない」
「俺の科白な、それ」
褌じゃなくて良かったと安堵すべきかもしれない。こめかみに青筋を立てながら拳を握る先輩へ死覇装を投げ付けると、全力で胸を撫で下ろす。
実は初めからずっと酒宴に紛れていて、一部始終を静観していた弓親さんが頬杖を付きながら『まったく美しくない……』と溜め息を着いていたことなんて、無事に飲酒を回避し、酒宴がお開きになった後ですら知り得なかった。



終わり
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