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日章旗のデューズオフ

第14章 【拾壱】岩&風&霞(鬼滅/最強最弱な隊士)



それに対して返事が出来ないのは申し訳無いと思っていたけれど、一度に四人分の呼吸を見て音を聴く為には或る程度の集中を要すると判断せざるを得ず、受動的な感覚を閉じなければならなかった。
(……目と耳は前方だけに集中させる。それ以外を、閉じる)
「こ、恋の呼吸、参ノ型――!」
「甘露寺、待て!」
「水の呼吸 拾壱ノ型――」
「あらあら、隙だらけですよ?」
さて、第一試合の様子はといえば……有り体に云って大混戦を極めていた。どうにも調子が悪そうな姐さんを伊黒大兄が必死に支援し、柔軟に受け流す水柱殿を囮に蟲柱殿が隙を突く。どちらが優勢かは一目瞭然だった。
姐さんは顔色を真っ青にしていた。大兄との連携が上手くいっていない自覚は有るらしく、なんとか態勢を整えよう、劣勢を覆そうと躍起になる余りに、却って肩肘が張るわ手元が狂うわの悪循環に陥っているようだった。
(姐さんは仲間と刃を向け合った事が無いのかもな……?)
そういえば彼女の柱稽古は『地獄の柔軟』だった。書いて字の如く、隊士の柔軟性向上と関節可動域の拡大を主とした稽古である。他は木刀を用いた動的な稽古が多い中、柔軟体操のみとは姐さんらしかった。彼女自身の身体がしなやかだからこその内容という点は当然ながら、仲間同士で刀を打ち付け合う事に抵抗があるからこそ、なのかもしれない。
「お優しいんだから、ほんと…………姐さーんッ!!」
「ッ!? 名前くん……ッ!?」
俺の大音声を嫌でも聴き拾った姐さんは、華奢な肩を揺らして喫驚すると、桜餅のように愛らしい色味を有する結い髪を跳ね上げさせながら此方を振り返った。余裕の無さそうな表情が酷く同情を誘う。伊黒大兄達も同じ気持ちを抱いていたのか、険しい表情で睨め付けては来るものの、水を差した俺を怒鳴り付けたりはしなかった。

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