【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第2章 別離。
ローside
* * * *
(アイツを、殺す……ッ、)
怯えきったシェリルの顔。
彼女に害のある人間は、俺が全部、排除する。
たとえそれが、天竜人でも、海賊でも、海軍でも。
アイツを傷つける奴等は、全員……っ!!
「待てッ!!!」
「………………、」
鞘から、剣を抜き、向ける。
鋭くとがった切っ先が、背の高い男だけを捉えている。
側近らしき男は、俺に一歩歩み寄ろうとしたが、制止された。
あの、ピンクの上着を羽織った男に…。
「…どうしたガキ、小娘を渡す気になったのか、?」
「お前を殺しに来た…ッ、!!!」
”Room”
奴等を、俺のサークルの範囲にいれる。
右手に剣を握りしめたまま、俺は奴に切りかかった。
殺意を宿した目で、憎悪を交えて、睨みつける。
(…アイツは、俺が守るッ、)
「フフフっ、!!」
「───────なっ、!!?」
体が、動かない。
地面を蹴り上げて、宙に浮いたままの体。
どうやっても、動かない、動けない。
瞳孔を開いたまま、奴を睨みつけることしかできない。
「………お前は、医者らしいなぁ」
「──────ぐッ、」
「それに、能力者……、」
どうだ、取り引きしねぇか、??
たくらみ顔で、男は指をクイッ、と動かした。
すると、宙に静止したままだった体が、自由になる。
地面に落ちて、倒れ、水たまりの中に落ちた。
「…あ゛ぐっ……、」
「お前が、俺の海賊団に入る…、そうすれば、あの小娘からは手を引いてやる」
「…そんなこと、するわけ────、!!」
「助けたいんだろう、? あの小娘を、病から……、」
海は広い…、治療法が、見つかるかもしれないぞ、?
「──────ッ、!!!」
「ちょうど、船医が欲しかったところだしなぁ、!!」
『ロー、!!』
彼女の微笑んだ顔が、浮かんだ。
雨は無慈悲に、体から体温を奪っていく。
男は嘲るように、俺を、見下ろして笑っている。
不気味な笑み、かなわない力の強さ。
(…俺は……、)
─男の口角が、裂けるほどに上がった、─