第1章 「鳩」
「僕のためだけに鳩を出してくれないかい?」
『承知しました☆3・2・1・はい♪』
バサバサっと1羽の白い鳩が、渉の手から飛びだしてきた。
鳩は1度渉の腕に止まってから小首を傾げてみせる。まるで、英智に挨拶しているみたいだ。
「ふふ、可愛いね。こっちへおいで」
鳩はその言葉を理解したのか、英智の白くてしなやかな指に止まった。
「やぁ、流石は渉の鳩だね。従順で良い子だ」
『お褒めにあずかり光栄ですねぇ☆』
「でも一匹だと寂しいよね?」
『フフフ~♪ではもう一匹出して差し上げましょう!1・2・3それ~☆』
真っ白い羽の鳩がもう一匹出てきた。
「流石渉だね。この子達に名前はあるのかい?」
『ふむ、特別な名前はまだありませんよ☆…英智、この子達に名前をつけてくれますか?』
「えっ、僕でいいのかい?」
英智のネーミングセンスは……色々と凄いのだけれど
『はい勿論ですねぇ!』
渉は即答した。