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【黒子のバスケ】どうしようもなく好きだったから

第14章 虹の暴走




そういう風に使うものじゃないと言いながらも、私はそれを駆使する。


子供なら寿命が人より長いはず。







『───いた』





【虹村】
「あ?」



『──いました先輩!

そこ!そこのバス停!!』



【虹村】
「は、はぁ? バス停??」


『いいから!早く行く!』



そこ。そこにいる。



寒さに耐えながら、震えている。


なんでそんなところに?

なんで──・・・





【虹村】
「夢『ちゃん!』!!」




【夢】
「!!!」




こちらを振り向く彼女。


私たちの姿を見た途端、涙を浮かばせて。



だけど、その口は固く結んでいる。





何か理由がある。
直感的にそう思った。






『・・・夢ちゃん、こっちおいで』



【夢】
「・・・・・・うん」




とてとてと頼りない足でこちらへやって来た。

その手にはなぜか温かそうなココアが。



『・・・寒かったよね。大丈夫?』


【夢】
「!! ッうん・・・!」


ぎゅっと抱きつくと、ふるふると肩を震わせて背中に手を回してくれた。


ココアの温かさが伝わる。





【虹村】
「・・・・・・夢」


【夢】
「!! ・・・お兄ちゃん、」



先輩の低い声がずっしりと響いた。


ビクリと震える夢ちゃん。


怒らないで欲しい、そう思った。



【夢】
「ご、・・・ごめんなさっ」


【虹村】
「・・・バカ野郎」



今にも泣き喚きそうなほど涙を浮かべた彼女の頭に手を置きながら、クシャクシャと撫でている。



予想外の行動に、唖然とした。

わたしも夢ちゃんも。




【夢】
「・・・・怒らないの?」


【虹村】
「・・・怒るのなんて、後ででも出来るからな。

それより、寒いんだから早く帰るぞ」


着けていたマフラーの位置を変えながら、夢ちゃんに背を向けてしゃがむ。



『・・・! あぁ・・・』




んだよ、クーデレかよ。




待って待って待っていたクーデレが。

この瞬間に見られた。



その背中にゆっくり乗る夢ちゃん。



見えた横顔は嬉しそうで。



お兄ちゃんにおんぶしてもらえるなんて、とっても嬉しいだろうな。
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