第9章 あの人の大切な人
メモリは・・・5
少ないけど、アメリカに行くのには余裕がある。
そして、先輩が主将交代をする意味もなくなる。
・・・それを言い終えると、先輩は絶句していた。
虹村先輩のお父さんもそれは一緒で。
【虹村】
「・・・お前、は・・・誰なんだよ?」
『・・・私は、三井はちに決まってるでしょう?
修造先輩』
【虹村】
「!?」
そこで世界が反転した。
眼の色が戻った・・・というのも、視力が回復したからわかったんだけどね
『どうでしたか? 私の眼!』
【虹村】
「ッ・・・!? ・・・・・・どうって、本当のことなのかよ」
『本当だと思います。
少なくとも、あと5年はピンピンなはずです』
【虹村】
「思いますとか、はずですとか信じられねぇんだけど!?」
『ちょ、虹村先輩! 信じてくださいよ!』
【虹村】
「!? おまえ・・・」
先輩はなにか言いたげだけど、構ってはいられない。
『・・・これは、あくまでも私の力です。
お医者さんの言っている事の方がごもっともだし、信じられなくても仕方ないです』
虹村先輩のお父さんは、私の眼を見ている。
また、片目が見えなくなっていく。
『だけど、私の言っていることは絶対ですから』
【虹村父】
「!! ・・・君は、」
目眩がした。
視力が戻る。
この眼から解かれるときは、なにかしら害があるんだね・・・
それに、不可思議なことに・・・
戻ると、この眼を使っている間の記憶が曖昧になる。
自分が何を言ったのか・・・よく覚えていない。