第40章 終わりへの扉
もうすぐで、
長かったようで短かった毎日が、
終わりを迎える。
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気がついていた。
だって、わたし見えるんだもん。
未来が。
『・・・ん・・・』
意識がクリアになった途端、
目の前が眩くなる。
無意識に回りを見渡すと、
こちらに背中を向けている人影を見つけた。
それだけで、なんだか幸せ、だ。
眩しい光が、朝陽が、
宙に浮かぶホコリさえも綺麗に、そして鮮明に映し出した。
わたしたち、
こんなに素晴らしい世界で
生きてたんだなぁ・・・。
アラームはまだ鳴らない。
それだけでも、幸せになれる気がした。
モゾモゾと動いて、
先輩にすり寄る。
わたしらしからぬ行動に、
自分さえビックリしている。
それでも、やめようとは思わなかった。
先輩の近くにいたい。
先輩に傍にいて欲しい。
抱きつこうか迷ったけど
とりあえず服を握っておいた。
そして、また目を閉じる。
規則的に聞こえてくる寝息も愛しい。
規則的に揺れるところも、好きだ。
あぁ、
わたし、こんなに先輩のこと、
好きなんだ。
【虹村】
「・・・ん・・・」
『!!』
寝返りを打とうとする先輩に驚いて、握っていた手を離そうとした。
でも、
『っ!?』
【虹村】
「・・・なんで、握ってたんだよ?」
・・・起きてたのか。
腕を握られ、至近距離にさえドキドキしてしまう。
『・・・そ、れは』
【虹村】
「・・・別に、いいけど。」
・・・寝起きだから、機嫌悪いの?
なにそれ、子供みたい。
それさえも好きだなんて、
わたし、重症だな・・・。
そんなこと思ってる間に、
腕を握っていた先輩の手が、
なぞるようにわたしの手を握る。
それに反応してしまう。
恥ずい・・・!
【虹村】
「・・・お前、に・・・なら、
いくらでも・・・握られて、いい」
ふっ、日本語おかしいですよ、先輩。
クスクス笑いをしていたけれど、
先輩の行動で一気に赤くなる。
『───っ!!!』
カリ・・・と、かじられた?
噛まれた!?
指先を噛まれた。