第35章 新戦力
屋上の扉を開ける。
いつの日か、夢で見た光景。
それが、現実になってしまった。
止まらない涙を拭うこともできず、わたしは自分の中の『私』が泣き叫んでいるのに気がついた。
───そうだ。
心が叫んでいたのは、結局は『私自身』で。
『私』と、わたし。
ふたりとも泣いていて、体は大洪水だ。
学校、来なきゃよかったな。
みんなが頑張ってる姿見るだけで充分だった。
青峰も、休まずに練習してくれてる。
でも、やっぱりつまらなさそう。
涼太も、相変わらず明るい。
でも、どこか目に光がなかった。
緑間も、相変わらずだ。
でも、やっぱり独走してる。
ムッくんも、構ってくれる。
でも・・・
・・・考えたら、埒があかない。
こんなとき、どうすればいいの・・・
『お父さん・・・っ』
子供のように、わんわん泣いた。
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夏の昼下がり。
縁側で寝ていた私に、お父さんはポイっとタオルケットをかけてくれた。
ふかふかで、お母さんの香りがして。
二度寝しそうになったところを、なんとか起き上がる。
《おとーさん!》
一瞬、目があった。
《ねーねー。おとーさんは、お母さんがどんな人か分かるの?》
お母さんは、私が生まれてすぐに亡くなった。
だから、お母さんの顔は覚えてない。
《・・・忘れた》
《えー!なんでー!》
《・・・もういいだろ。寝ろ》
《やだーー!》
駄々をこねる私の頭を押さえつけて、座らせる
渋々座った私は、お父さんの膝の上に頭を乗せた。
すると、頭を撫でてくれて。
そのまま、寝てしまった。
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「・・・・・・・お父さんじゃねぇよ・・・」