第34章 平行
黒、そして、秘密。
それらは女を美しくすると言われているけれど。
ほんとだろうか。
今のわたしには、秘密がたくさん、あると思う。
自分にさえ秘密にしていること、相手に悟られないようにしていること、相手を傷つけてまで隠し通しているもの。
でも、それをすべて着飾っていても、今のわたしは美しいのだろうか。
わたしは、美しくなっているのだろうか。
そうは、思えない。
どす黒い感情に身を任せ、相手を傷つけてでも自分を守っている。
良心が痛むが、気づかないフリをする。
ほら。
またこうやって嘘をつく。
秘密と、嘘は、同じ?
嘘をつけばつくほど、秘密になっていく?
そして、美しくなれるの?
自分自身さえ傷つけて、それでも平然と生きていける?
・・・ううん、違う。
平然と生きていかなきゃいけないんだ。
もう一度言う。
ごめんね、赤司くん。
ごめんなさい、先輩。