第33章 どうしようもなく辛いこと
───ガチャ
『お待たせ赤司くん』
【赤司】
「上がったか。じゃあこれを、」
彼が立ち上がる前に抱きつく
先輩を好きになった『私』はもう居ない
・・・それでいいんでしょ? 神様
だから・・・心の穴を埋めてくれる何かを、求めていた
【赤司】
「・・・・・・はち?」
『・・・行かないで。お願いだから』
なのに
なのに
どうして
───わたしはこんなに必死になってるの?
【赤司】
「・・・・・・泣くな」
なんで・・・泣いてるの?
頭に重みがかかる
あったかくて、優しくて、わたしはこの手を求めていたのだと
そう、言い聞かせた
【赤司】
「・・・冷めるぞ。いいのか?」
『・・・あったかいから、いい』
【赤司】
「いやそういうことじゃ」
『お願いだから、離れないでよ
・・・わたしから、離れないで』
自分でもびっくりする声。
わたしは何にこんなに懇願しているの?
なんのためにお願いしているの?
【赤司】
「・・・俺も男なんだが」
『え?』
見るからに男じゃん、当たり前じゃん。
【赤司】
「・・・・・・いいのか?」
『・・・いいよ』
もう、どうでも。
私のこの気持ちは殺されたまま、
私たちは、はじめてを共有した