第33章 どうしようもなく辛いこと
目が、琥珀色になってる
その事実が、より現実味を帯びていた
【赤司】
「・・・その、『帝王の目』というのはなんだ?」
『・・・それは、』
どう説明すればいいのか分からない
今の赤司くんとは無縁・・・と、願っているし・・・
・・・うーーーん・・・
黙りきってしまったわたしに痺れを切らしたのか、赤司くんは微笑んだ
【赤司】
「それより、虹村さんには何も言わないで出てきたんだろう?」
『うん・・・』
【赤司】
「・・・俺から電話しておくから、風呂に行ってこい」
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ポッカーーーーン
は、いつまでも外せない
『やっぱ広いなぁ・・・この家は』
アメリカかよみたいなビッグサイズ
・・・そういや、お金持ちの家ってマーライオンみたいなの置きたがるよね
何気なくマーライオンから出てくるお湯に手を伸ばすと、
『あっち!!!』
・・・危うく火傷するところだった
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【赤司】
「・・・・・・もしもし」
雨が窓を叩くなか、彼の凛とした声が部屋に響く
無駄に広い分、よく通るのだ
そして、電話の向こうの相手の声も、部屋によく通る
《・・・んだよ》
もっとも、それはとても不機嫌な声だけれど。
そう───虹村修造の声だ
【赤司】
「・・・・・・彼女に何したんですか」
《・・・・・・俺はなんもしてねーよ》
あいつが変わっちまっただけだ、と
それは、赤司征十郎は既に感づいていた
いつもの彼女とは違うこと、くらい
《・・・わかんねーよなー
・・・いきなり人が変わってさ・・・
表には出てないそれも、俺のなにかにグッサリ刺さるんだよ》
涙を堪えるような声
彼も、辛いのだ
その悲痛な心の叫びは、電話越しでも伝わってくる
それが、赤司にとっても辛かった