第26章 父さん
『─────ふがっ!?』
「・・・もう少し女らしい声で起きたらどうなんだ?」
あれから少し経ち、はちが目を覚ました。
きょろきょろと辺りを見回しているところを見ると、父さんを探しているのか?
「父さんなら仕事へ行ったよ」
『え!あ、そ、そっか!
・・・だ、ダメだった・・・?』
「ん?覚えてないのかい?」
『うん・・・ごっそり記憶が抜けてるんで・・・』
「──・・・男同士の約束だよ」
あえて詳細は言わない。
知らなくても、きっとはちには分かるだろう。
根拠はないが、そんな気がしていた。