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【黒子のバスケ】どうしようもなく好きだったから

第24章 灰の心 part2


───灰崎side─────────┐




俺が、あいつが戻ってきたっていう知らせを聞いたのは数日経ってからだった。


女遊びは減らしていたが、部活はサボり気味。
だってめんどー。




だがその日、俺は久しぶりに全力疾走をした。





「────はち!」


『!! 灰崎!』



もうすっかり定着している部室での掃除係も、久しぶりのように感じた。



俺の目の前にいるのは───紛れもなく、はちだった。


三井はちだった。



ろくに人の名前も覚えたことがねぇ、覚えるのにも数日かけていた俺が、真っ先に覚えた名前。


それは───こいつに好意を寄せていたから。


最初は、なんで俺がこんな気分になんなきゃいけねぇんだとイライラしていたが、なんだかこいつの前だと自分らしくいれた。

女のことなんか、頭から抜けるぐれぇに。


「・・・ほんとに、はちなのかよ・・・?」


『偽物じゃないよ・・・ほら』

ばっと両手を広げているそいつに、俺は迷いなく抱きついた。


普通の遊び相手に、抱きつくような真似はしねぇ

でも、好きな相手には素直になれた。


ポンポンと背中を叩かれる。


『がんばったね灰崎。
女遊び減少したんだって?』

「んなっ! いや別に、」

『素直になりなよこんにゃろ~』


俺の銀髪がわしゃわしゃになるのが分かる。

他のやつにされたらそれはもう殴りかかるが、こいつのは素直に受け入れておく。


好きな女には弱ェのな、俺。


「帰ってきてたんならそう言えよ」

『だって部活に顔出さないんだもん、あんた。会えなかったんですぅー』


「会えなかった」っていう言葉にも、少しくらい期待したりなんとか。

「会えなかった」ってことは、「会いたかった」ってことなのかよ?


・・・翻弄されまくってるな、自分。



『・・・あ! こんなことしてる場合じゃないよボク! 早く着替えて部活行く!』


ボクって・・・なんだよそれ


「つか、おまえがいるから着替えできねぇんだけど」

『・・・・!! あ、そ、そうですね!
では・・・』

「うそだよ。居ろ」



気がついた途端、耳の先まで真っ赤にしていたはちを見て、思わず呼び掛けていた。



くそ、なんでもかんでも可愛いのな









・・・・んなこと思う自分、俺じゃねぇみてぇだな
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